無線交信でがっかりしたことがあったら一度お読みください
アマチュア無線は大変素晴らしい趣味です。
そこには無線の先輩や後輩はいても、上司や部下はいません。みんな平等です。
法律やみんなが公平正当と認めるルールに従っていれば、あれをやってはいけない、これをやってはいけないということもありません。
何かをやらなければならないこともなく、また、何を挑戦しようと自由です。
そんな場所がほかにあるのかなぁ、と思います。当局はこういった意味でこの世界が大好きです。
ですから、このアマチュア無線の世界がこれからもそうであり続けるように、努力をする義務のようなものはあると思います。
それは、いろんな考え方を認めるということ、そして新しくくるニューカマーを歓迎するということだと感じています。
アマチュア無線におけるいろんな考え方とは、具体的には交信のスタイルになると思います。
ラグチュー派もいれば、599BKもありで、それぞれ各局には好みやポリシーがあると思いますが、相互にそれを認め合うことが大切かと思います。
無線の世界は広いようでまた狭いものです。10年無線を続け、交信数は15000回を超えましたが、交信局数は7000局に届きません。平均して一人の方と二度はお話させてもらっていることになります。一期一会では決してありません。つまり、どんな時も、また次の出会いを予想して、丁寧に交信をすることが大事だろうと思います。そこに年齢の上下はありませんし、装備や獲得したアワードでの上下もないはずです。
そんな中ですが、時々何となく交信をしてがっかりすることがあるかもしれません。
意気込んで取り組んでいるのに、「嫌がらせを受けた」というような感覚を持ったり、「傷ついた」と思ったり、そんなことがないとは言えません。
そういったことが起こったせいで、無線を離れる方が少しでも減るようにと思い、このページを作成してみました。
1. ほとんどの場合は、勘違いです
うれしくない経験のほとんどは勘違いだと思います。
無線は状態が安定していないため、こちらが言ったと思ったことが相手に伝わっていないこと、相手が伝えたと思ったことがこちらに伝わらないこと、たくさんあります。
普段の会話は同時に話すことが可能ですが、無線は鉄則として一方が話し、他方は聞くとなります。このため、十分にお互いの会話を確認しながら先へ進めるのは実はむつかしいものです。
先方がこちらの問いかけにとんちんかん(?)な回答をしてきたとしても、それは仕方がありません。
こちらが言ったはずのことをしつこく聞かれたとしても、それは仕方がありません。
完全な意思疎通が成立した、とすっきりする会話で終われるケースのほうが珍しいと思えばいいかなと思います。
2. 誰も応答してくれない
そんなことはありません。どのバンド、どのモードでも、ワッチしている人はきっといます。
CQが空振りになる理由はいくつかあります。
・電波が届いていない:コンディションが悪く、普段なら届くところにも届かないケースがあります。まれだとは思いますが、こちら側の配線がどこかおかしく電波が出ていないケースもありえます。
・すでに「おなじみさん」になってしまった:多くのハムは、同一バンド同一局と一回だけ、というポリシーではないかと思います。したがって、CQを出し続けると、新しい参加者がいないと応答してもらえる局が減ってしまいます。違うモード、違うバンドに行くのが一つの方法ですし、時間を空けるのもいいですね。
・ほかはどんどん交信が成立しているようなのに、自分には応答がない:気のせいです。ただ、固定局と移動局では圧倒的に移動局のほうに人気があります。珍しいJCCなどで「サービス」されていらっしゃるような場合、そちらへ応答は集中します。もし、何かあるとしたら、応答しやすい感じにCQが出ているかどうか、はあると思います。どんなふうにCQをだせば声をかけやすいかは、研究の余地ありかなと思います。なお、CWやFT8はそういった「CQの出し方」による差はありません。
・つながらない時:普通はコンディションが悪いからです。また次回、としましょう。
3. 嫌がらせ?とおもったら
① 「意図的な混信」と感じるとき
混信が入ったらどうするか。
自分のほうが先にCQを出し、過去30分何度も交信が連続的に成立しているのに、同じ周波数でCQが入ってくることがあります。
まず嫌がらせではありません。こちらには聞こえているが、先方には聞こえていないケース、いっぱいあると思います。つまり、こちらには混信だが、先方では全く問題ない、ということです。二つほど例を引いておきます。
・たとえば当局のロケーションは430については絶好であるため、ある周波数でそれなりに離れた局と交信をしていたとしましょう。
そこに、高速道路を走りながら情報交換をされるモービルの無線局が現れたとしましょう。そうなると相手局の信号が、所々で抑圧を受け、または聞こえなくなったりします。ただ、これは当局にとっては混信ですが、当局の交信相手にとっても、モービルの方にとっても、混信になりません。
・1エリアの当局が8エリアの局と交信をしているところへ、かぶせるように3エリアからCQがかかるケースがあります。これは、当局の電波も8エリアの電波も3エリアをスキップしていることが十分に考えられます。電波はアンテナの性能の差などにより、こちらから聞こえているから先方からも聞こえるはず、ということはないと確信します。先方でも何も聞こえていないから、CQを出しているんであって嫌がらせではありません。
混信が起こったら、こちらが速やかにQSYするのがルールです。
1エリア-3エリア-8エリアの例であれば、当局は8エリア局に「QRMあり」と報告して3のルールに従って速やかに交信を打ち切り、QSYをして周波数を開けます。
② 混信以外でもCWでCQを出し始めると、突然強いトーン音が入ってきたりすることがあります。多くの場合そのトーン音は当局に応答をするための準備(たとえばチューナーの調整)だったりします。ただ、そうでないケースもないとは言えません。ただ、それも、誰しもアンテナの調整を行うことはあるわけですし、何等か機械の不調で電波が発射されることもあったりします。速やかにQSYするのが正解と思います。
③ ほかにもいろんな事象があると思いますが、狭い場所を共有スペースとして使っていると思えば、多くのことが勘違いであると理解できると思います。気にせず、前に進みましょう。
4. 交信の傍聴に関連すること
アマチュア無線の交信は暗号化が禁止されており、広く傍聴されています。
交信している局は、オペレーターが本名の名乗る必要はありませんが、コールサインを告げて責任を明確にします。そして、交信されている内容は、むしろ傍聴されるべきものであって、隠すものではないというのが、私的な会話との大きな違いだと思います。要は交信とは「ラジオ」ですね。
したがって、交信内容でアマチュア業務にかかわるものは、たとえばWEBでリファーされたりするのは、許容されるべきと考えます。
もちろんこういう時代ですので、無線局とオペレーター個人は切り離して、個人の情報は保護されるべきでしょうが、そうでない部分は共有の財産かなと思います。したがって、交信内容に関してもそれを基準に内容に注意していくことが大事かなと思います。
交信の傍聴に関連して、最近はほとんど経験しませんが、「ブレーク」といって交信へ割り込みがされるケースがあります。
ブレークとはAという局とBという局が交信中に、その交信内容を踏まえてCという局が交信へ入ってくるケースです。一対一のはずの交信がいつの間にか、一対多になるケースもあります。これらは、一定のルールに従う限り、つまり、アマチュア業務であれば、礼儀を踏まえつつ認められるべきかとも思います。それは交信内容がプライベートな財産ではないから、ということに由来します。
同じブレークでもよくあるケースは、交信が終わった瞬間にブレークがあり、当局と今まで話していたB局に対して、B局の知り合いのC局が、B局との交信を希望してブレークを宣言するというものです。当局はその場合には、使っていた周波数は基本そのままBC局に使っていただくことにしています。もっとも、多くの場合BC局がQSYされることになります。
またまれに、当局が遠距離のB局と交信をしようとするのに、双方非常に厳しいとき、間に位置するC局がこれをリレーすることがあります。
この時、どの局とどの局の交信が成立しているのか(上記の一般的なブレークも同じ)、という問題があり微妙ですが、ケースとしては実際あります。
いずれのケースでも、一瞬「えっ」という気分がしますが、自局の交信を聞かれていることは当然で、けしてオペレーターの気分を害する理由にならない、というのはアマチュア無線の一つのルールと思います。
このコンテキストで理解できる部分は、むしろアマチュア無線のだいご味かと思っています。
5. それでも会話内容が不適切なとき
たとえばフォーンの会話をしている中で、会話内容が不適切で必ずしもうれしくない気持ちになることがありえます。
気持ちの問題なので、その瞬間に余裕があれば、理由を探っていただいて、不愉快な気持ちの理由が「アマチュアコードへの違反」であれば、その気持ちはアマチュア無線家として正当化されるものです。
ただ、そうでなかったとしても、言葉のやり取りの中で、何となくつらい気持ちになったら、私は「いつ打ち切ってもいいルール」を発動すればよいと思っています。
当局はアマチュア無線では、交信が成立(コールサインとRST交換)した後は、いずれの局からでもいつでも交信を打ち切ることができ、これは双方の権利と認識しています。これを「いつ打ち切ってもいいルール」と考えています。実はこのルールはeメールやLINEなどでも同じだと思っています。
その打ち切り方に関しても、「73」と言わなければならないなどのいかなるものも不要と思っています。突然終わっても問題なし、です。
フェージングや時々刻々変化していくコンディションの中で、各局がどのように交信に取り組んでいくのかは、各局の自由です。「599 TU」で終わってしまったら、それで当然にOKとなります。
ですので、交信を続けることが意義もなく愉快でもなければ、ファイナルを送って、唐突かもしれませんが、交信を終了すればよいと考えています。
こちらが打ち切りの意思を示しているのに、相手局が話を無理に続けるような場合は、閉局、あるいはQSYすればよいと考えています。閉局やQSYをわざわざ告げる必要もないと考えています。
もし、交信の打ち切りが誤解に基づくものとしても、無線が必ずしも良好でないコンディション下の交互交信であることを踏まえ、そのことに対してはプラスの評価もマイナスの評価もしないのが無線家の鉄則だと思います。
必要に応じて交信を打ち切ってください。特に、アマチュア無線の精神(JARLとARRLのものを当局HPへ載せています。ご参考まで)に反するようなケースに出会う場合にはなおのことそうだと、当局は考えています。
一定の品位をたもち、無線という趣味、世界が健全に発展するためには、その目的と両立しない部分においては交信しないということが貢献だとも思います。
これは違法局に対して応答することもまた違法とされていることに通じるものだと思います。
そして、そういった経験は一刻も早く忘れてしまうことだと思います。
無線内容はたくさんの方がワッチされています。凛とした行動はそういった方が証人でサポートしてくれます。
なお、こういったケースに出会うのは、それこそ万が一未満と思いますが、経験も踏まえてお伝えする次第です。
以上は当局の経験に基づいた当局の意見です。
広い無線の世界では違う意見のかたもおられるだろうと思います。
何かの参考になればという気持ちで載せさせていただきました。
読んでいただいた上は、当局のCQが聞こえていましたらぜひ応答ください!!
(最終更新:2021年6月12日)