CWについて
アマチュア無線の世界ではCW(Continuous Wave)とはモールス信号による通信を指します。
CWの電波は、伝統的には電鍵による手打ちですが、電鍵も自動的に信号を発生できるエレキーや、最近はリグやコンピュータから信号を発生させ送信することもできるようになり、変化しています。また受信も機械がかなり読み取ってくれます。
こういった進歩もありますが、自由に電文を打つためには手で送信できることがやはり必要で便利だと思います。また、CQを出す場合は相手の弱い信号を聞き取るためには耳で判断できることも必要です。
このため、CW通信を行うためには、モールス符号を覚える必要があります。
覚え方は様々に紹介されていますので、ネットで検索されて、お好きなものを選ばれるのが良いと思います。
当局は、まず欧文の文字を見てモールス信号を思い浮かべるところから始めました。「トン・ツー」は使わずに「ピー」なら「ピー」という単音を「ピー・ピ・ピー・ピ」といった具合に頭の中や小さく口ずさんで覚えていきました。これができるようになると実は送信のほうはできるようになります。そのうえで、受信へ移りました。
受信に関しては、モースル音を発生させるフリーソフトをダウンロードして、正確性が上がるまで毎日聞き取り練習をしました。ごくゆっくりしたところから始め、欧文の暗語をノートに書きとりました。所定の速度で聞いて9割取れればその速度では実用と言って良いと思います。遅い速度からだんだんと早くして、鍛えていきました。一番一生懸命やっていたときは、ICレコーダーに音を記録して会社の行きかえりに電車の中でも書き取りをやっていました。送信と受信は分かりやすく言えば全く別物です。私には受信のほうが圧倒的にむつかしく感じられました。ただ、これも根を詰めて、一日二時間くらいやり続ければ一か月もすれば目標とする速度に上達するものだと思います。幸いにも、たくさんのOMの方が、覚え始めのころフォーンでお話ししているときに、励ましていただいたのが続けるモチベーションになりました。
JH1DOMは覚える目標をお伝えしたいと思います。それは聞き取りにおいて20wpmだと思います。JARLの電信技能認定制度において、初段または二段の水準です。また、法令により通信の速度として定められていた速さでもあります。
聞き取ることが重要なのは、CQの出し側に回る場合その能力が問われるからです。CQを出す側にあっては、呼ばれた時にコールサインが聞き取れないといけません。微弱な電波となると、雑音の中から、フェージングの中からコールサインを聞き分けるのにはある程度鍛錬が必要になります。クリアな信号であればとれたとしても雑音やフェージングの中から音を拾うためにはまた鍛錬が必要で、私の場合は聞き取りの速度を上げることや、暗語でなく欧文の平文など、区切りがどうつくかわからない文章の聞き取りに挑戦するなどして練度を上げました。あとは、実際にCQを出してみるのだと思います。
音を聞いて文字に置き換えるのは訓練が必要と思います。
モールス音は、私の場合は、耳で聞くと短点と長点の絵になって、区切りが入るとアルファベットにさっと変わる。そんな感じです。特に何も考えなくても音を文字に落とすことができるようになりました。25wpmくらいまでなら聞き取れると思います。
モールス符号は実はむつかしいですよね。区切りが来るまで、わからないわけですから。「・」がEかどうかは続く文字があるかどうかがわかるまで何とも言えません。「・-」がAかどうかも同じです。「・-・(空白)」となって初めてRと確定します。効率的ではありますが、実に人間臭いデジタル信号だなと思います。そこがまた、いいのかもしれません。
アクセント(「クセ」)のある電文を打つ方もいらっしゃいます。縦ぶれ電鍵ならではです。機械には読めないだろうと思うだけにこれが取れるかどうかが、CQ出す側の腕の見せ所です。当局は比較的アクセントには強うほうかなと、勝手に自負しています。音が文字にさっと変わる、この感覚で向かって言えば何とかなるものです。時々どうしてもわかりにくいアクセントに出会うことがあります。そうした時はとても必死ですが、なんとかなるというのが感想です。文字の間があかないのが一番つらいですね。頭の中でトンツーを区切るといった作業をすることになります。また、単点が最後続くときは所定の数よりたくさん打たれたりするケースがあります。Hと5を頭の中で区別するような挑戦を受けることがありますが、これも、実際は楽しみの一つではあります。
とはいえ、それではいけないと思いますので、当局は信号は以前はエレキーで、最近はリグまたはパソコンソフト(DigitalSoundCW)で送信しています。きれいな信号を出すのが、ある意味、CQ出し側の責任かなと思っています。
実際の交信では、当局の場合、耳で先方の信号を聞き分けて、DSCWやハムログの所定のコラムや自動的にオープンさせているテキスト欄に、聞き取り結果をキーボードでテキスト欄へ入力しています(欧文のみ、和文はこのやり方は無理です)。
ソフトを使って信号を解読させようとすることもありますが、現状、耳の方がソフトよりも正確でSN比も良いと思います(まだ雑音の中から弱い信号を拾うところまではソフトが進化していないように思います)。
モールス信号を送信する方は、聴くほどには難しくないと思います。これは出すべき信号があらかじめわかっているからで、送信と受信は別物だと思います。特に和文を含めて信号を出すほうは、現状、やろうと思えば100%ソフトウエアが代替可能となっています。
そんな中で縦ブレ電鍵で信号を出すのはアートの世界と思います。これはかなりの修業が必要と思います。ちなみに私はエレキーです。縦ブレ電鍵も持っていますが、ほとんど使っていません。「きれいな信号を出す」というのが、CQ出し側の使命とかってに理由付けをしています。ただ、エレキーも、信号を早い速度で出そうとすると技術が必要です。25wpmくらいになると私は筋肉の反応が付いて行かず文字を正しく出すのに困難を感じます。23前後くらいが出せる上限に思います。それより早い信号を出すのなら、パソコンソフトでいったん文章を作ってそれを機械で変換して流すやり方、ちょうどRTTYやPSKの交信スタイルと同じにやらないとできないと思います。
モールスを打つ以上、本当は機械が判別できるきれいな信号を、間違いなく打つことが大事と思います。
もっとも、たとえ電信でも、気持ちは伝えたいと思います。HAVE A NICE DAYくらいは、やっぱり手で送りたいものです。なんとなく定型文以外のところは気持ちがこもるものだなと思いますので。そうなると送信術もやはり必要と思います。その点、エレキーは信号さえ覚えればあとは送信まではそんなには課題はないのかなと、思います。あとは交信してみる勇気です。正直言って、相手の電文、わからないことが少なくありません!。送信ももちろん間違います!想像しながらです。フォーンでも同じですよね。どんどん遠慮なく電信の世界へ出てきてもらえたらなと勝手ながら思っています。
開局して9年が立とうとしていますが、この間正確ではない都は思いますが、CWの交信は簡素化、高速化が進んでいるように思います。
CWでのラグチューは私自身は和文でなければしたことがありません。刻々と変化するコンディションのこともあり、基本、交信はコールサインとレポートの交換だけ、くわえてQTH/OP名の交換、あとは定型的な挨拶プラスアルファ。そんな交信がほとんどと思います。ここ最近はQTH/OPはもはや交換しないのが定着しつつあるような感じさえします。以前は、359位の海外であれば、OPは交換していましたが、時代は変わったように思います。
それにあわせて以前より交信速度は速くなり、以前は一般的なスピードでは20wpmをやや上回る程度だと思っていましたが、今は599BKやコンテストだと25wpmくらいに上がっているのではないでしょうか。
私は湖うっ滞事情も踏まえて、通常のCQは22wpm前後で出しています。応答してきた方の速度が遅い時は速度を遅いほうに合わせるようにしています。私は、欧文の通信速度は20wpmでよいと思っています。早ければよいのではないと思います。コンテストはひょっとして違うかもしれませんが。
CWは飛びます。
コンディションがよければ、50Wもあれば海外も普通に交信可能です。ファンも多いと思います。また、PHONEでお話しさせているとわかりますが、新たに挑戦しようとされている方も多いと思います。
遠距離通信の王道、無線の醍醐味と思います。
2020年も終わりにかけてコンディションが上がってきました。あらためて、海外とCWでつながる喜びを経験できる条件は整いました。多くの方が、国内のみならず、DXに挑戦されることを期待します、応援します。海外局は、本当に、とっても、親切です!!!
CWはデジタル通信にも区分できるとは思いますが、機械の存在が必要なデジタルと異なるのは、CWが人が信号を送り、耳で聞いて解釈するからだと思います。CWにはデジタルにはない人間味があると思います。また送信効率が悪い分、電話にはない「行間」が交信に込められていると思います。
私はたいがいの場合DXを含めてCQを出すケースが多いので、経験に基づいて、CQ出す側の気持ちをお伝えします。
まず、通信速度ですが、ゆっくりとした通信速度で応答があっても全く問題ありません。送信速度は気にせずお答えください。
ただ、余裕があればつまみをひねってこちらの速度も落としますが、場合によってはそうしないケースもあります。そのかわり、文字と文字の間を開け、単語と単語の間隔をあけるようにしています。応答側で機械を使っておられれば速度は問題ないと思いますし、そうでなくても、受信練習をしていた時の経験から文字の判別時間の確保が一番効果的と思うのでそうしています。
カスカスに入ってくることも全く問題ありません。取れるかどうかがCQを出す側の腕の見せどころです。QRP局の319とか439の信号が取れるのが喜びです。またここが取れないとコンディションが良い時期のDXが対応できません。当局のCQが小さく、あるいはフェージングをともなって聞こえていたとしても遠慮なく声掛けください。
アクセントも問題ありませんが、できれば文字と文字の間はしっかり開けていただけると助かります。長短点が15個も続くとさすがに頭の中で区切ることができなくなってしまいます。
599BK大歓迎です。また、ラバスタを超える交信の大丈夫です。どのような嗜好で来られているか、考えながら交信するようにしています。当方が誤解して長い電文を送っているようならフルブレークインでモニターしていますので遠慮なく打ち切ってもらって結構です。
当局、CQ出すときは、559くらいで来れば名前は伝えるようにしています。せっかくですからお名前とQTHをいただけると良いなと思います。あとは普通はラバスタに徹しています。
以上ですので遠慮なくお声がけください。
皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
(最終更新:2020年12月8日)