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JH1DOMの実感 ・・・ バンドごとの特徴 1200MHz帯
(概要)
1200MHz帯は、一時人気が低迷していましたが、2018年のICOM IC-9700の販売により大きく息を吹き返したバンドとなります(私見です。ご容赦ください)。
それまでの一般のアマチュア無線リグはオールバンド、といっても上限は430でした。当局も当初購入したリグは430どまりであり、たまに1200の話をOMの皆さんからうかがうことはありましたが、それがにぎやかだということは聞いたことがありませんでした。おそらくFM電話需要は430で十分に確保されていて、あえて1200に手を出すまでもないということだったのかなと思います。
ところが、アイコム社があえてIC-9700に1200を搭載したことは、VUバンドの使われ方があいまって、新たなスポットライトを1200にあてたと思います。VUの電話、特にFMは極めて手軽なバンドであり、そこを起点にアマチュア無線人口も増えてもらいたいと思いますが、実際、144MHzの使われ方や430メインの状況に、満足感を覚えられない方も少なくないのでは、と感じます。女性や、若者・子供が関心を寄せてくれなくては、アマチュア無線はすそ野が広がらないと思います。その点、1200MHz帯はある意味処女地のように感じます。
当局の場合、アマチュア無線のレパートリーの拡大のため、1200を考えるようになったのですが、「リグがない」のが難点でした。また、IC-7000Mの経年劣化が感じられるようになり、新しいリグが欲しいなと、思っていた矢先の発売にぴったりとタイミングが合ったのもありました。そしていざ運用を始めてみると、上記のようなこのバンドならではの新鮮さを感じるようになりました。
なお、1200MHzにおいてはアマチュア無線は二次業務とされており、当局の免許状には「1280MHz帯の使用は、一次業務の無線局に有害な混信を生じさせ又は一次業務の無線局からの有害な混信に対して保護を要求してはならない」との記載があります。この周波数帯での一時業務はテレビ局の中継システムとのことです。またさらに免許状には注釈があり「1280MHz帯を常置場所以外で使用する場合の空中線電力は、1W以下に限る」とあり、移動運用する場合の出力は最大1W(常置場所からでも10W)が最大となります。
(装備・伝播状況)
1200MHz帯は、電波の直進性がより鮮明になることから、指向性のあるアンテナを使えばきわめてシャープに交信ができると思います。
ただ、当局はどうかというと、モービルホイップでやっています。それも2m/430MHzとの共通3バンドのものを使っています。これをトリプレクサで分離して、IC-9700につないでいます。トリプレクサを注文したら頼んだものが売り切れ、とCQオームさんから言われたことを思うと、同じように考えておられる方が少なからずいらっしゃるのかなと思いました。
当局の場合は地上高が十分なところにシャックがあるので、指向性あるアンテナでなくてもなんとかなるという感じです。また、数は少ないですが今までの交信経験から考え、おおむね伝播は430とさほどは違わないのではないかと考えています。当局の5Wの電波であれば、見晴らしがよいところでハンディ機をつけていただければ関東内であれば、交信できる信号強度で入るだろうと思っています。逆に同じところからのハンディ機から送信であれば、当局は拾うことができるだろう、というのが直感です。別の言葉で言うと、「430とは大きくは違わない」というのが実感です。
リグはこのバンドに出られる機材を持つ必要があります。固定器ではIC-9700がもはや唯一のリグではないかと思います。そのほか、古い機械が1200に出られる機能を備えていたり、あるいはハンディ機が1200に出られるようになっていたりします。アイコムの回し者ではありませんが、ぜひ9700の購入をご検討されてはどうかと思います。9700はコンピュータとの接続によりリグの操作が可能であり、いたって便利な機会です。ただ、VU限定(HFまでは7300ということになります)なのが少し残念で、私の希望は下から上まで、受信のジェネカバもつけてもらったオールバンド・オールモード機が出ないかなと、そう思っています。
(使われ方)
・FM
1295.000MHが「呼び出し周波数」とされています。ほかのバンドと同じく、ここで呼び出して、サブチャンネルへ移っての交信となります。
FMは1294.90〜1295.80までとなっていますので、比較的呼び出し周波数より下のチャネルは少ないです。
FMの使われ方は、たとえば430とは何の違いもないと思います。
ただ、リグの調達がむつかしいことなどもあり、このバンドは現状装備がそろって意欲のあるアマチュア無線家が多いと感じます。
430のメインを聞いていると、いろいろと思われることがあるのは各局同じなのかなと感じますが、その意味で無線家にとって新しい世界のように感じます。
・SSB
1294.00〜1294.60まで幅広く割り当てられていますが、SSBはほとんど交信されていないように思います。
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CW
CW専用の周波数帯の割り当てはなく、SSBと同じです。はっきり定まっているわけではありませんが、下のバンドの例に倣い、1294.050あたりがもしCQが出ているとするとワッチする周波数かなと思います。コンテストの時などではこのあたりで交信が行われますし、まれではありますが、普段も交信ができることがあります。
周波数が高くなってくるため、周波数の安定度を心配する情報を見たことがありますが、これまでの交信で先方のトーンが変わっていったような経験はありません。ただ、確かに6mのSSBなどではRITが手放せないようなことがありますので、ケースとしては存在しうるかなと思います。
・FT8
国内のFT8は1296.60MHzが既定の周波数です。残念ながら交信が成立するのはまれではあります。
また、ここでやるんだ、ということが周知されていないのが理由では、とも思います。ちなみに1200にはほかのバンドでは指定されている「狭帯域データ」の区分がないため、1296.60MHzは「全電波形式」の区分に含まれています。
(JH1DOMの交信スタイル)
JH1DOMは各モードでこのバンドへ出ています。ただし、CW/SSBはほとんど交信が成立しません。FMとFT8が中心です。
需要はFMに偏っていると思います。FMではそこそこ応答をいただけます。先方の使用リグが9700であることも少なくなく、また、お話を聞く限りにおいて9700の話題が少なくないこともあり、このバンドは一台の新発売の機種にインスパイアされたと感じました。FT8もこのバンドどこでやるのか、と各局手探りのところがあろうかと思いますが、コンセンサスができつつあるようで、空振りになるケースは余りは多くはないように思います。
もっとも、やはりバンドは活性化している、というのには遠い感じがしています。2019年のIC-9700の熱狂は2年を経た2021年後半へ続いていくかは、無線家のアクティビティにかかっている感じです。
(最終更新2021年6月12日)
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