IC7610の最新の使用感についてはこちらを参照ください。

HFメイン機交替

JH1DOMは2アマ合格後、現在のメイン機であるIC7600を購入し、以来5年余りこの機械でHFに取り組んできました。
IC7600の後継機であるIC7610が発売されたことに伴い、IC7610を購入しメイン機を交替させることとしました。

IC7600について

100ワットの中級機としては非常に優れた性能を有するものと思っています。使い比べたことはありませんので以下に記すことは一方的な感想にすぎませんが、ご参考にしていただければと思います。

まずサイズですがアマパンハムには手頃です。
横35センチ、奥行き30センチ弱とコンパクトな筐体で、アパマンハムとしては非常に幸いなことに一般的なカラーボックスにちょうど乗るサイズです。重さは約10キログラムと天板の耐荷重以内となります。上級機は優れていますが、まず大きいのと思いのとで、「無線機を置く場所」が必ず必要となります。場所が少ない中、アパマンハムは資金はあっても上級機を置くところはありません。
同じアイコムの機械でもIC7600は小さいほうで、たとえば9100などは7600よりも奥行きが大きく、もう置く場所がないのが正直なところです。

液晶。非常に見やすい黒背景の白文字です。5年間、一点の性能劣化もありませんでした。
また表示部分が非常に大きく、いろんな情報が無線機を見るだけで得られます。もちろん将来的にはこういったビジュアル情報は「無線機で見る」のではなく、「モニターで見る」(7610はすでにその対応があります)ことへ移っていくのだとは思いますが、それでも、スイッチを入れた瞬間にいろんなことがわかること、これは大事と思います。
「無線をやっている」という実感が機械の前(私の場合は場所の都合があって横ですが)に座ると感じます。家族へも無言の理解を求めるようにシャックに鎮座していただいている感じです。

受信性能。DSPによる信号処理ですが、すばらしいと思います。特にCWの微弱な電波が来た時の音が浮かび上がってくる感覚は何とも言えません。前回のサイクルピークときの海外との交信は、受信性能なくしてはかなわなかったと考えています。アパマンハムとしてやっていくためには、アンテナには制限が強いと思います。機械の受信性能でそれを補えるかどうかがポイントだと思っています。

RITつまみ。使いやすいです。SSBのCQを出すときのむつかしさは相手との周波数の微妙な差です。音を聞き分けるためのこのRITの操作性は、CQを出すものとしては重要なポイントとなります。専用のつまみが右下のわかりやすい位置にあり、右左に動かせる、さらには一気にクリアボタンでゼロへ戻せる、助かります。

バンド選択スイッチ。おそらく多くの方もそうと思いますが、JH1DOMは大体各バンドで出る場所を決めています。たとえば、7MHzならCWは7.013、RTTYは7.037、SSBは7.105と決めれば、その通りボタンが覚えていてくれるのは助かります。下位機種にもついている機能ですが、ダイヤルを大きくぐるぐるしなくてもよい点で助かります。

スペクトラムスコープ(バンドスコープ)。慣れてしまったので大事さを忘れているところはありますが、バンドの状況の確認やCQを出す前の予備点検などでは必須の機能です。

出力。100ワットの力はやはりあると思います。2アマになってよかったと思うのはすべてのアマチュアバンドに出られるとともに、はやり100Wで電波を飛ばせることになると思います。とってもらえなければCQを出しても仕方がない、移動局と固定局の違いは何か、それはやはりパワーだと思います。

フィルタ。特にCWの250のフィルタの切れ味はよかったと思います。コンテストにはあまり出てはいませんが、コツコツ音に悩まされることはほとんどありませんでした。またSSBにあっても3.0Kでは聞き取りにくい音が2.4Kのフィルタではかなり鮮明度が上がります。DSPのおかげかもしれませんが、いろんな変調パターンがあるSSBにおいて、CQを出す側の私を大いに助けてくれたと思います。

音:受信をしていて思いますが、アイコム機の音は非常にいいです。変調の乗りが極めて良好で明瞭度がぐっと上がります。サイドバンドでも「ひずむ」というのでしょうか音の端々が聞きにくいことがIC7600を受信の側から見た時の特徴です。7700も非常にいいです。ちなみに7610も非常にいいです。買おうと決断した理由の一つです。

ノイズリダクション:極めて優れたノイズ低減効果を生み出しています。使うとつかわないを比べるとその差は歴然です。

アンテナチューナー:いいですね。リグから見たSWRはほとんど1となります。ただ、最近はSWR計の数字がきちんと落ちることを目標にしていますので、あまりチューナーに頼ることはしていません。ただ、必要なときはワンタッチで行けるのはやはり助かります。

逆にあまり使わなかった機能もあります。

例えばデュアルワッチ。ほとんど使ったことはありません。2バンドの状況を同時に確認する必要を感じたことが私の運用スタイルではあまりありませんでした。また、デュアルワッチといっても実際のところ特定の周波数のワッチであって、バンド全体のモニターではなかったことや、モードはメインとサブで同一としかならないのは欠点であったと思います。今回この点は根本的に修正されました。
TWIN-PBT。DXerではないJH1DOMとしては、近接周波数の混信でQRVがしにくいという局面がほぼありませんでした。
ノイズブレーカー、ノッチ。いまにいたるまでこれらの機能がわからない状態です。

向上してほしい部分もありました。
中でも特に何とかしてほしいのが出力調整つまみです。前面最下段に細いつまみがあるのですが、頻繁に使う割には使いにくいものでした。マイクゲインやCWスピードはそうそう変更ないのでこれで構いませんが、出力はバンドによってこまめに変える関係上、もう少し使いやすいほうがありがたいところです。
マイク端子は、本格的であるため仕方がないのかもしれませんが、8ピンのものはあまり出し入れすると壊れるような気がして不安でした。私の場合、スタンディングマイクSM-50を使っているのですが、2mや430に出るときにはサブ機のIC7000MでQRVするため、そのたびにマイクを抜いて、付け直しています。結構力が必要なので上記の通り壊しはしないかと不安です。

IC7610について

でたばかりで評価はまだ定まっていないのかもしれませんが、私としてはまずこの5年間のマシンの経年劣化の回復は確実に実現できると考えています。
もちろんIC7600にはよい部品を使っていただいているのでしょうから5年程度でどうのこうのということはないとは思いますが、それでも新品にはかなわないだろうと思っています。
受信性能のさらなる向上は買い替えの大きな魅力です。ダイレクトサンプリング方式がどれだけの効果を生むのか、自ら確かめてみたいと思います。個人的にはSSBがもっと分解性能よく入ってくれば良いなと期待をしています。
液晶はさらに大型化し、私が向上を期待している小さいつまみ類はおそらくタッチパネルでの操作へ切り替えられたと思います。RITの位置も同じで安心です。受信も、今度は2バンド完全デュアルワッチが可能となるとのことです。全体のボタンの配列は7600と同様で操作に迷うことがなさそうなことが、実機を見る前から十分に予想できます。
結論、7600のポイントをすべて含んだうえでさらなる発展のある機材と考えました。値段はもちろん張りますが、アンテナがモービルホイップで限界なら、トランシーバーは最高性能でと思い、購入を決断しました。
なお、お値段はCQオームさんで勉強いただきました。ぜひ、皆さんもお問い合わせください。


上位機種について

今回は上位機種の導入もかなり検討しましたが、やはりアパマンハムとして200W出力での運用は無理との判断に至りました。
幸い、これまでインターフェアなどの苦情をいただいたことはありませんが、かといっていったん言われてしまっては集合住宅にいる手前、いかんともしがたくなると思います。JH1DOMは80mHのシャックに位置するアパマンハム、と自らを標ぼうするのですが、その内実は出力は100Wまで、その範囲内で何ができるかを考え、挑戦するということと整理しました。

JH1DOMの今後のリグ展開

JH1DOMはUVはサブ機のIC7000Mで出ています。
7000Mはもう作っていないと思います。後継機の7100が出ましたので。ただ、私は7100のデザイン、特に液晶がツートンカラーなのはどうかなと思っています。したがって、7100の次の機種が出た時に次の展開を考えたいと思っています。またその時には1.2Gに出ることを考えたいと思っています。
ハンディ機はVX-8Gを使っていますが、これもトリオのTH-D74を買おうかどうか悩んでいます。いま、JH1DOMにはD-STARに出る設備がありません。結構盛んにやられているようなので、ここへの参画が必要と思っています。
いずれにせよお金がかかることなので、まだ、この二点に関しては結論を急ぐ必要はないと思っています。

なお、7600から7610への変化は型番の上りが10だけ、に表れているように本質的なものではないのかもしれません。
これから出てくるトランシーバーはもっと根本から設計発想が異なるようなものが出てくるのではないかと思います。スカイセンサー5900のダイヤル直読は、多くのBCL同好者にたいして、なんとしてもその機材を買いたいと思わせました(私も父親にねだって買ってもらいました)が、その技術もPLLシンセサイザーの登場で大きく変わりました。今や周波数はヘルツ単位で世界中で正確です。同じような優れた技術進歩が、次のサイクルピークまでには来るだろうとJH1DOMは勝手に予想します。たとえば200W機が超小型化してルーターのようになり、操作はすべてパソコンから、通信のプロトコルが開発されて音声通話もHFでデジタル化されて遠隔地まで省電力で飛んでいく、それを世界中でリスナーが確認する、そんなことかと思います。インターネット経由で衛星へ電波を打ち上げて、ダウンリンクでCWが南アフリカと安定的につながる、それが極めて狭い帯域幅でどんどんできる、こんなのどうでしょうか。そうしたらまた、リグのありかたも大きく変わるだろうと思います。
そうなったらなったで新しいリグを買って頑張りたいと思います。










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IC7610導入