PHONEモードについて
(概要)
FT8の出現で大きな変化があったと思われますが、アマチュア無線交信の一つの大きな柱は依然としてPHONE(フォーン)モードでしょう。
フォーンモードには、代表的なものでFM、SSB、AMがあります。デジタルボイスモードであるC4FMやDSTARもあります。
いずれも、音声を変調させて相手に届けるところがポイントで、したがって、言語による会話がとなります。
このため、CWのように符号を覚える必要もありませんので、参加するハードルは最も低くなります。
免許としても4アマ免許を取れば、バンドに制限はありますが、参加できるようになります。
JH1DOMはフォーンモードの特徴は、なといっても参加者が多いことだと思っています。
たくさんの方とお話しするには、やはり皆さんがワッチされているバンドにフォーンモードで出ることが必要だなと思います。
(モードごとの特徴)
・FM
FMに関しては、10メーターバンド(29MHz)から許されており、6メーターバンド(50MHz)、2メーターバンド(144MHz)、430MHz、さらには1200MHzとバンドの設定があります。
10メーターバンドのFMは、お好きな方がいらっしゃると思います。29.300MHzを暗黙の呼び出し周波数として、このバンドが好きな方がモニターをされているはずです。ごくたまに当局も参加することがあります。伝播状況はほかのFMとは異なって直接波の減衰を感じるところではありますが、Eスポが出れば海外と交信できるとの話を聞いたことがあります。繰り返しになりますが、大好きな方がいらっしゃいますので、声を出してみると面白いのかなと思います。ただ、設備がそれなりに必要かもしれませんので、多くの参加者がいるわけでもないと思います。
6メーターバンドには幅広いFMの周波数帯が設定されていますが、当局はこのバンドのFMは活発でないように思います。
6メーターは後述するように何といってもサイドバンドが中心です。以前当局も時々6mのFMでCQを出したりしていましたが、応答が少ないないしは参加者が限られているようなところがあり、もっぱらこのバンドのフォーンはSSBとしています。以前は6mFMに出られるハンディ機などありましたが、いまはこのバンドはハンディ機があったとしてもあまり使えないのでは、と感じます。
2メーターバンドのFMは、以前は活発に交信がされていたイメージがありますが、現在は低調といってよいのではないかと思います。バンドをたまにワッチしますが、いわゆるアマチュア無線らしい交信は正直あまり聞かれないように思います。ハンディ機の多くは2mと430のデュアルバンド構成です。もっと2mのFMも活発に交信されればいいなと思います。もっとも、2mのFMはバンド幅が狭く(0.95MHz、430はEMEの部分を含んで2.6MHzある)、また、伝搬状況も430と著しくは違わないなら、人気が430へ流れるのもやむを得ないかなと思います。。
そんな中で、FMの中心バンドは、東京地区では何といっても430MHzだと思います。
今も「違法?」と思われる方もいらっしゃいますし、アマチュア業務とは言えない会話が聞こえてくることもありますが、多くの方がCQをメインで出されているのが聞こえます。ただ、そのCQも私が無線を始めた7年前と比べると「減ったな」「固定化しているのでは」と思うことがやはりあります。総じてPHONEモードそのものに対する需要の低下みたいなものを感じたりします。一方でどんどん新しい方が、声を出してもらえるのも期待したいと思うところです。
さらに430MHzはレピーターの利用が認められていて、439-440MHzでは交信可能です。通常のFM、それから当局はDSTARがつかえますからDSTARで、一般のシンプレックス交信(直接に一対一で交信すること)とは異なる方法が可能ですが、実際は利用状況は極めて低いと思います。レピーターの活性化は、ひとえに、恥ずかしがらずにみんながCQを出せるかどうか、そして、同じ周波数で複数の交信ができるようにする何らかの工夫の二つが大事なのでは、ととりあえず感じてます。当局も、レピーターはワッチするばかりで出たことはありません。
それはさておき、430MHzは割り当てらているバンド幅も非常に広く、FM特有の安定的な交信状態が確保できるのが何といっても大きな魅力です。
ハンディ機でもロケーションが良ければ省電力でものすごく飛ぶと思います。
JH1DOMは80mHの高さにものを言わせて、関東一円は5Wをめどに交信をしています。10Wも出すと、この位置からだといわゆる「メーター振り切れ」くらいの強度でとびます。つまり、家族がハンディ機を持っていれば、関東圏内どこにいても呼び出せるし、呼ぶこともできることになります。すごいなと感じるところです。
また、ときどきVX-8Gの最小出力である50mWでQRVするなどの運用を楽しんでいます。あっと驚くほどつながります。高さがあれば、アマチュア無線でなくとも、フリーライセンスの無線機で交信は楽しめるだろうと思います。簡易な無線交信の形態は、最近はSOTAなど新しい楽しみ方が出てきていることもあり、ぜひ、無線に関心がある多くの人の力で、430というか、フォーンモードをぜひ盛り上げていきたいなと思います。
FMは入れば安定的に交信できるため、ゆっくり話すのが良いのではないかと思います。
QTH、お名前、シグナルレポート、設備(リグ、アンテナ等)や出ているバンド・モードの情報交換、そして最近の無線の話題をお話しさせていただく、そんな場所としてはもってこいとおもいます。
一方で、最近の傾向としては交信はどんどん簡略化される方向かとは思いますので、場合によってはシグナルレポートの交換だけでもいいのかもしれませんが、それでも情報量をたくさんやり取りできるのは、フォーンのだいご味かなと思います。
とても素敵なFMモードですが、私が懸念するのは、マナーの悪さです。
新しくこのバンドでデビューされる人を盛り立てるそんな気持ちを台無しにするような、アマチュア無線の精神に相いれない会話がメインで聞こえたりするのは残念だと思います。それに対抗するのは取り締まりなどではなく、無線家の素晴らしいマナーと交信の実績だと思います。
当局だけでできることには限りはありますが、自分なりに、できること(=楽しい無線交信)はやりたいなと思います。
1200MHzのFMはIC9700の登場でいま活性化していると思います。
このバンドは、アマチュア無線家しか参加できないバンドのように思います。その分、ピュアな感じがします。もっとも、リグの普及などが進んでおらず、伝播がいよいよ障害物があるとつながらない指向性の鮮明化で汎用性がないなどの欠点があり、1200が430をとってかわるのは、IC9700の登場数年を経た今の実際かと見ています。
・SSB
HFと6mではフォーンモードといえばSSBになります。
2mもどうでしょうか、当局はSSBがアマチュア無線としてはFMより優勢と勝手ながらみています。
SSBはFMと異なり、距離と電波が比例的です。
SSBは弱ければ弱いなりに、強ければ強いなりに入ります。
FMは伝播がデジタル的で、特にスケルチを聞かせると本当にデジタル的になります。つまり入るときは入るし、入らなければ入らない、ということです。それがSSBにおいては、弱ければ弱いなりに、強ければ強いなりに聞こえます。
この伝搬がSSBの魅力です。
SSBにはアマチュア無線家以外の方はおそらくいらっしゃらないのもまた、よいところと思います。
SSBは無線交信が華やかなりしころ、バンドを有効に活用するために考案されたのであろうと勝手ながら思っています。AMでは6kc必要な周波数の幅を節約するために半分で済むSSBが考案された、ということです。ところが、7MHzを除けば、残念ながら今の各バンドの状況は混信を気にするほど込み合っていません。それどころかCQが聞こえるのがまれ、というくらいに一部のバンドでは需要が低下しているかなと感じます。それは余談として・・・
SSBはその特徴から、飛ぶときは遠くまで飛びます。
国内の近距離ラグチュー狙いでCQを出していたらVKや太平洋の島々などから突然呼ばれることがまれではありますがあります。FMではまず起こりえないことです。
近距離遠距離、音声で通信できる、そのためのモードとはやはりSSBだと思います。
SSBは専有帯域幅が3KHz(人間の音声の幅)であり、HFは10mを除き、フォーンといえば狭帯域(つまりSSB、なおAMも可とされています)に限られています。10mから上はFMも認められてはいますが、伝播の特徴から、6mでも2mでもアマチュア無線家のフォーンの中心はSSBだと思います。2mなどはFMは衰退では、と思うことはありますが、SSBは私には健在に見えます。
当局はCQを出すことがほとんどなのですが、SSBでCQを出すときにややむつかしいのが「同調」です。
こちらの周波数とぴったり一致した周波数で応答いただければ助かるのですが、微妙に違っていると音声がうまく復調できません。これが嫌いでSSBが好きになれない方もたくさんいらっしゃるのだろうと思います。弱めに信号が入ってくると同調していないと音が拾えず、コールサインが非常にわかりにくくなる場合があります。無線機には必ず「RIT」つまみがあり、これで受信周波数を上下させることができるのですが、RITを短い時間で素早く調整するのが大事なテクニックになります。できれば、こちらの周波数にぴったり合わせて応答いただけると助かるなと、思います。おそらく無線機の設定(周波数のステップ)がそうなっているからだろうなと思っています。
さらに、微弱な周波数からみでは、ICOM機には「ノイズリダクション」という機能があり、当局も通常はONにしていますが、微弱な電波を取るときは実際はOFFにするほうが確認できます。また、受信のバンド幅も、通常は2.4KHzに設定していますが、場合によっては3KHzにしたほうが良いなと思うことがあります。ちょっとテクニックが必要なところがあるのがまた、楽しみではあります。
SSBは、信号の強弱にもよりますが、変調の良しあしもまた楽しめるところです。よい変調が載って発射されている電波と、そうでない電波。いいマイクを使っておられるので低音高音がきちんと伝わってくるケースとそうでないケース。気が付いたことは必ずレポートすることにしています。そうすると先方の局長がマイクなどでいろいろと工夫されていることを聞けることも少なくありません。そういった無線家ならでは工夫が生きる、それもSSBの好いところなのかなと思います。
ですので、もしオールモード機をお持ちでしたら、FMだけでなく2mや430でもSSBをワッチしていただけたらと思います。144.150-250くらいの「奇数」チャンネル、同じく430.150-250くらいがそれぞれのバンドでのSSBの活発な周波数帯です。
・デジタルボイスモード
デジタルボイスモードは八重洲のC4FMとICOMのDSTARに二分されている状態です。
多くの無線家が思っていることと思いますが、統一したほうが良いというのが当局の意見です。
当局はICOM派であることもあり、C4FMのことはわかりません。以下DSTARに関してコメントします。
DVモードはシンプレックス通信(一般の通信のように無線局と無線局が直接に交信すること)というより、レピーター経由を前提としているようではありますが、実際の利用状況は、レピーターは使われていないに等しい状態と見ています。違うかもしれません。違うかもしれませんが、それにしては、当局至近の西東京レピーターや堂平レピーターは終始閑散しているとしか報告できない状態です。一方で、DVモードで普通にCQをかければ、シンプレックス通信としての応答はあります。
この問題はFMもそうですが、レピーターの構造的な問題だと考えています。レピーターをワッチしてCQがかかれば応答するのですが、そうなるとレピーターが使えなくなります。ほかのレピーターを探すのかということになりますが、多くの方が自宅からアクセスできるレピーターはごく限られていると思います。わかりやすく言えば、使えないということかなと思います。どちらかというと、自分用にレピーターを確保して専用にしてしまうなら、使い勝手は大きく上がるだろうと考えます。
普通に考えて、多対多の通信手段を確保しなければ、シンプレックス通信であれば430FMにとってかわることはむつかしいと感じます。
また、DVモードの音声は、いわゆる「ケロった」状態があり、入るなら入りますが、入らないと聞こえにくく、音声という意味では普通のFMのほうが上です。そもそも、FMは20kc帯域を使いますが、DVは音声としては10kcしか使っていないから、当然です。音声と同時にデータを送るということなのでしょうが、それが重要なのかなぁ、と思っています。
当局は時々433.30のデジタル呼び出しチャネルでCQを出しますが、応答率は低いのが実際です。
レピーターをワッチしても、ドンドン交信が成立しているというのには程遠い状態と思います。
いまのままでは、あまり将来的な発展はないのではと危惧します。FT8のようにデータ送信に特化するか、フォーンとして音声通信のための一段上の技術をICOMと八重洲が協力して開発してくれれば、違う展開があるのでは、と思います。
・AM
AMに関しては、ほとんど交信実績がないこともあり、確実なことは当局としては言えませんが、いくつか思うことがあります。
まず音ですが、SSBに対比して綺麗です。AMラジオの音で聞こえます。SSBに必要なRIT調整は不必要なのではと思っています。搬送波に両側の側帯波が存在していることは「力強い」と感じます。
伝搬もSSBに比して落ちるとは今のところ思っていません。強ければ強いなりに、弱ければ弱いなりに入るのはSSBと同じです。
もっとも、SSBに出ている人が圧倒的に多く、問題なくSSBで通信できる中、AMで通信を行う理由は興味をのぞいてないかもしれません。
でも、「興味」こそアマチュア無線の醍醐味かなとも思います。
時々、当局は思い出したようにAMでCQ出したりしています。ツイッターに情報を上げるようにしてますので、機会ありましたら、応答してください。
バンド別では6mのAMは盛んと聞いていますが、当局はちょっと今までのところ、遠慮をしている次第です。50.600付近と聞いています。
2mや430MHzでAMを聞くことがまれにあるとすれば、狭帯域の右側でデータにかからないところ、つまりは144.35-40あたりか、430.40-50あたりになるかなと思います。また7MHzもバンドの上限いっぱいのところ(7.200より少し下)がAMの交信されているところとCQ誌に紹介されている記事を呼んだことがあります。
情報まで。
(2022年1月4日更新)
(雑感)
以下、重要でないので読み飛ばしてください。ただ、なにか思うことがある人がいれば参考にしていただければと思いますので記述しておきます。
PHONEモードは、例えばCWのように、符号を覚えることが不要なため参入障壁が低く、別の意味で実にいろんな方が参加されています。その多様性は実に幅広いものがあります。
アマチュア無線の本当のいいところは、趣味という重なりを大事にしたうえで、いろんなスタイルを相互に認め合うということにあると思うのですが、残念ながら、人を傷つけRることを目的とするような参加者がいないとは限りません。
JH1DOMは、この記事をお読みの皆さんが、もし、そういう経験をされた場合は、すぐに交信を打ち切ることをすすめます。アマチュア無線家として謙虚に紳士的な対応をしているのにもかかわらずなお、失礼な言動をされたり、不快な立場に置かれてしまった場合は、通信をやめる権利は、皆さんの側にあると思います。「大変申し訳ございませんが、交信を打ち切ります」といってやめるのが一番と思います。アマチュア無線で、特にフォーンはお互いのスタイルを尊重することを大事にすることから、どちらからでもいつでもファイナルを出せることが大事で、ファイナルを出されたらQSOは終了させるのは無線家の責務と思います。打ち切って、別の周波数でCQを出すのがよいと思います。
もちろん、嫌がらせを本当に受けているかどうかはわかりません。ただ、だからといって長時間楽しくない立場を引きずられる必要はないと思います。もし、何か悩み事などあれば、メールいただければと思います。
(SHURYOUSHURYOU )