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JH1DOMの実感 ・・・ バンドごとの特徴 21MHz

(概要)
21MHz帯または15mバンドはHFハイバンドの中心的なバンドです。
海外DXが簡易な設備で狙える一方、コンディションが良ければ国内遠距離も快適に省電力でつながります。バンド幅も広く、また3アマバンドでもあり、かつ、そうはいっても周波数が高いため近距離もある程度は行けるため、ローカルの通信にも使われているものと思います。参加者も28と比較しても多く、まずは、HFハイバンド、あるいはコンディションが上がってきたときに狙うバンドはここだと思います。
前回サイクルピークを含むJH1DOMの交信記録では、交信数でこのバンドが24や28を圧倒しており、また平均交信距離は全バンドで最高の1300kmこえとなっています。これはこのバンドの世界的な使われ方をある程度表していると思います。
またサイクルボトムのこの時期でもまた条件さえよければF層反射で沖縄なら入ると思います。もちろん近くの方とのQSOも可能です。

(装備)
3.5-7-14-21のラインは倍数の関係にあるだけでなく、HFの「保守本流」バンドと思います。古くからあるバンドであり、参加者の厚みが異なります。こういった歴史的な経緯から市販のアンテナも充実していると思います。このことはこれらのバンドへの参加を容易にしていると思います。ただし、ほかのバンドでも同じとは思いますが、海外DXを中心的に志すならある程度の装備が必要だろうと思います。また効率性の観点からは指向性のあるアンテナがあるとなおよいと思います。
現在コンディションが悪い時期であるだけにこういった装備の良さがQSOの実績に影響を与えることが正直実感されます。出力は最後の頼みの綱としつつ、装備の整備がやはりこのバンドあたりから下はモノを言うのかと思います。
JH1DOMは残念ながら立派なアンテナを立てることは集合住宅の制約上不可と考えています。モービルホイップで対応をせざるを得ないと思いますが、何か良い工夫がないかどうかは、いつも思うところです。ベランダにおける指向性のアンテナがあればぜひ試してみたいと思うところです。
リグに関しても、DXを志向する場合を中心にある程度受信の性能が求められるのではないかと思います。聞こえないと応答はできません。私には詳細はわかりませんが、受信性能に関しては依然として無線機は日進月歩ではないでしょうか。バンドはそんなに混雑していません。どこまでのS/Nで聞こえるかがポイントだと思います。使い方によりますが、ある程度の機材を置く必要があるだろうと思います。
そして出力ですが、固定局として運用するのならばやはり100Wは出したいところです。
おそらく科学的には正しくないと思いますが、JH1DOMは「聞こえていたら届く」と考えています。海外からのQSLの到着状況から見て先方での出力はおそらく100W程度が中心と思います。これは私の勘違いではないかとも思いますが、アマチュア無線の世界では必ずしもパワーが大きいことはそれだけでは褒められるものではないように思います。これらを総合すると「聞こえている100W出力の信号へ応答して交信を成立させる」ためには100Wはほしい、となります。
もっともこれは、DXを中心にした話で、国内遠距離はそこまでは全然不要と思います。つながるなら沖縄とであれば、SSBで50Wで十分というのが当局実感です。さらに近距離直接波は減衰がそうはいっても大きいので、出力を上げてみても違いは極めて大きいというものでもないように思います。

(伝播状況)
HFとしての性質が前面に出てくると思います。
近距離の通信の減衰は次第に大きくなり、ごくお近くを除いては直接波ではむつかしいと感じます。50Wで半径10kmくらいがラグチューに問題ない水準かと思います。430であれば50mWで同じ効果が得られると思いますので違いは歴然です。
一方でF層反射波はハイバンドのHFの特徴として非常に伝播状態が良く明瞭に遠くまで飛びます。どのバンドよりもこのバンドで沖縄とつながると感じます。ただ、14MHzが2アマバンドになっている影響があるかもしれませんが。本当に状態が良ければこのバンドであればサイクルボトムの今(2018年1月)でもVK(オーストラリア)あたりとはつながるだろうと思います。これらのことから、このバンドはDX通信のメインバンドと思います。サイクルがボトムの今ではそのようなことはなくなりましたが、サイクルが良かった時は東京と欧州の中間に太陽が差し掛かる夕方になると非常によく欧州方面とつながったと記憶しています。狙って出ることもありました。

(使われ方)
このバンドはCWは主としてDXに、SSBは主として国内遠距離に使われていると思います。
CWのバンド幅も非常に広く、あまり混信を気にせず出ることができると思います。周波数のすみわけはある程度気にする必要はあるかもしれません。海外DXは基本的には周波数の低いほうで、国内CWをやるのであれば高いほうで出すのかと思います。当局も国内を呼ぶときはCQの電文中にJCCコードを入れてかつ、周波数的には21.050前後で出るようにしています。DXで出るときはずっと下のほう、たとえば21.015あたりでコールサインだけを繰り返す形で出ています。もっともこのすみわけは、クラスタの発達により次第に重要性は失われているかもしれません。RBN(Reverse Beacon Network)などは本当にリアルタイムでバンドの状況を常時アップデートしていてきわめて正確です。ダイヤルをぐるぐる回すのはもはや趣味や楽しみとなりつつあり効率性を求めるならばクラスタを見るのが圧倒的です。その意味で「探す効率性」を求めての周波数のすみわけは不要になりつつあるかなと思います。クラスタを見て、出すほうもあいているところで出る、ということになります。
SSBも一般的なすみわけとしては21.150〜21.200くらいが国内といわれているとのことですので当局もそのあたりで出ています。もっともこのバンドは国際交信は国内より上の周波数で行われることが多いように思います。クラスタを確認することでもよいかもしれませんが、SSBに関しては聞こえていなければ不用意な混信を起こすことはあまりはないのかなと思います。
・CW
国内のCWは活発ではありません。国内のCWはバンド幅が広がったこともありやはりまずは7MHz、ついで10MHzだと思います。14MHzですでにまれというのが当局の実感です。
一方で21MHzのCWは海外向けという意味ではメインストリートとなります。国内向けにCQを出していても、いつ海外から応答が返ってくるかわからない、というくらいだと思います。
話は横にそれますが、CWでCQを出すと、思いもかけず海外から呼ばれることがあり、CQを出す場合にはこのことへの対応と心構えが必要です。応答が常に「J」や「7」で始まるわけではないという心構えが必要です。また、応答の際「DE JH1DOM JH1DOM」のように頭に「DE」を付けるケースがありますが、Dで始まるコールサインがいきなり来ることも予定していないといけません。ドイツとあと韓国にDで始まるコールサインがあるので素早く頭を切り替える必要があります。また、コールサインの長さも一定しません。
さらに付け加えて言うと、今とったコールサインがあっているかどうか、自信がないことが少なくありません。海外と交信すると国内とは異なる非常に長く深いフェージングや、急激なコンディション変化が当然のようにあり、一方でやはり打鍵のアクセント(癖)があったりするので、大変です。当局経験では取り間違える可能性は極めて低いですが、自信がない時はやや邪道ではありますが、ネットでコールサインを検索するのも一つの方法です。ただ、当局の場合は左利きなので左手で電鍵を操作しながら、利き手でない右手でマウスを操作して後進の隙間でキーボードをたたくというのはかなりのアクロバットです。汗をかきながらのQSOはそうはいってもDXの醍醐味の一つ、やめられない理由の一つかなと思います。交信を成立させるのはCQ出す側、応答する側の共同作業です。
さらに横に入ると、コールサインが取れないときに「AGN AGN」と聞くときがあります。この時、CQ出す側としては、同じスピード同じ形でいい変えることなく繰り返してほしいと思っていることがほとんどだと思います。聞き取れない最大の理由はQSBです。QSBのサイクルと通信スピードが違えば必ず5回くらい読んでもらえれば取り切れると思います。ところが通信の速度が変わると肝心なところがあらためてQSBにかかることがほとんどです。早すぎる場合はQRSと打つと思います。3度同じように繰り返せば319あたりの信号までは必ず届くと思います。
話が脱線しました。このように21MHzは海外色豊かなバンドとなっています。
・SSB
サイドバンドは国内遠距離が楽しめると思います。コンディションが良ければサイクルのボトムでもF層反射で沖縄あたりまで届くこともあると思います。東京から見て北側は厳しいかもしれません。
バンド幅も非常に広く、込み合っていてどこでCQ出せばよいか、場所がないということはないと思います。言葉を変えれば、つながればゆっくりお話しさせていただけるバンドということになります。近くは直接波以外はつながりにくくなると思います。あまり経験としてMUFが国分寺で21まで上がることはなかったように思います。前回サイクルのピークで国分寺MUFは14メガくらいだったと記憶しています。ただ、直接波もこの周波数ですのでそれなりにつながります。ただ、減衰の関係もあって快適な交信ができる半径は100Wあったとしても限られるようになってきます。


(JH1DOMの交信スタイル)
JH1DOMは、21MHzに関してはSSBとCWで時々CQを出しています。2018年は依然としてサイクルボトムの時期ではありますが、それでもSSBあたりでは交信が成立するのを期待しています。昨年の交信実績を見ても近隣のSSB/CWと国内比較的遠距離のCWがつながっています。特筆すべきところではRTTYのQSOがVKと成立しています。
ここのところ、HFのローバンドでは当局装備は「聞こえているが届かない」現象が少なからず発生しています。ローバンドは装備が必要です。ハイバンドはこのあたりになれば次第に装備がものをいう部分が出てくると思いますが、それでも簡易な装備で楽しめると思っています。
時々QRVしてお近くの方を予定しつつも思わぬ展開をこのバンドでは期待したいと思っています。

(最終更新2018年1月30日)